その前に、1つだけ前段があります。行き先の形を考えるのは、「動く」と決めた後の話です。まだ決めていない人は、先に自分の市場価値を測ってください。提示される求人の工程と年収帯を見れば、動くべきかどうか自体が見えてきます。転職は、得策とは限らない。まず、自分の市場価値を測れ。測り方の手順は、面談を市場価値の測定に使う記事にまとめました。
まず、自分の優先軸を選ぶ
下の6つから、今の自分に一番近いものを選んでください。タップすると、その軸の得策に移動します。優先軸は複数あって当然です。大事なのは、順位をつけること。その順位が、紹介求人を仕分ける(5:3:2)ときの物差しになります。
軸1:お金が最優先 → 高単価SES/単価連動型のSES
向いている人
- 業務内容へのこだわりが薄く、成果をお金で測りたい
- 正社員でいたい(フリーランスは考えていない)
- 今の会社では、自分の単価と給与が切り離されていて納得感がない
得られるもの/諦めるもの
- 得られるもの:単価と給与の連動の分かりやすさ。単価の高い案件に移るほど、年収が目に見えて上がる
- 諦めるもの:案件(常駐先)を自分で選べない場面、会社への帰属意識、研修制度や福利厚生の厚み
面談で必ず確認する質問
- 給与は単価の何%が、どういう計算で決まりますか(賞与や社会保険料の会社負担分を含む計算ですか)
- 案件が決まらない待機期間の給与は、どうなりますか
- 単価の下がる案件に移ったとき、給与はどう下がりますか(下限の取り決めはありますか)
書類・求人票で見るポイント
「還元率○%」の数字は、会社ごとに計算の定義がまるで違います。数字の大きさで比べるのではなく、計算方法を面談で開示できる会社かを見てください。自分が就く案件の単価そのものを開示する会社かどうかも、大事な確認点です。
軸2:上流の経験・技術の伸び → 元請けSIer/設計・構築の比率が高い会社
向いている人
- 運用・保守から抜けて、設計・構築の経験を積みたい
- 「決める経験」を、次に売れる経歴にしたい
- 年収の伸びより、3年後の市場価値を優先したい
得られるもの/諦めるもの
- 得られるもの:上流工程の席、判断と調整の経験、フェーズを上がるための実績
- 諦めるもの:すぐの年収の伸び(移った直後は同水準か微増のことも多い)。会社が大きいほど、配属先を自分で選べない面
面談で必ず確認する質問
- 配属される案件は、要件定義・設計から入る比率がどれくらいですか
- 御社の案件は、何次請けが中心ですか
- 構築から設計へ、工程を上がった社内の事例はありますか
書類・求人票で見るポイント
「上流工程あり」という表現は幅が広すぎて、求人票だけでは実態が掴めません。工程の比率と商流の深さを、面談で数字に寄せて聞くのが前提です。工程と年収の関係は、工程マップ(フェーズマップ)で現在地と並べて確認してください。
軸3:働き方 → 事業会社・社内SE
向いている人
- 夜勤・交代勤務の生活から抜けたい
- 腰を据えて、同じ環境を長く見たい
- 残業を抑えて、生活のリズムを優先したい
得られるもの/諦めるもの
- 得られるもの:日勤中心の勤務、異動のない職場、自社システムへの継続的な関与(企画側に近い席)
- 諦めるもの:年収の伸び幅(会社によってはレンジが緩やか)。技術の幅は自社の環境に寄ります
面談で必ず確認する質問
- 夜間・休日の障害対応の体制と頻度はどうですか(オンコールはありますか)
- 残業の実績は、月平均でどれくらいですか
- 情シス部門の人数と、1人あたりの担当範囲はどれくらいですか
書類・求人票で見るポイント
「社内SE」という肩書きの中身は、会社ごとに全く違います。部門の人数が少ない会社ほど守備範囲が広く、ヘルプデスクから基盤運用まで全部見ることになります。行き先が社内SEと決まっている人は、専用窓口の使い分けを登録先の比較ページで確認してください。
軸4:自社プロダクトに関わりたい → 自社サービス・自社開発中心の会社
向いている人
- 常駐先の異動を繰り返す働き方に区切りをつけたい
- リリースや改善の意思決定に近い場所にいたい
- 自分の仕事の成果が、利用者の反応で見える方がやる気が出る
得られるもの/諦めるもの
- 得られるもの:プロダクトの成長への関与、継続的な改善のサイクル、腰を据えた開発・運用
- 諦めるもの:環境の多様さ(技術スタックは自社のものに固定される)。会社の業績リスクを直接受ける面
面談で必ず確認する質問
- 自社サービスと、受託・常駐の事業の比率はどれくらいですか
- 入社後の配属は、自社サービスのチームですか
- プロダクトの収益の柱は、何ですか
書類・求人票で見るポイント
求人票で「自社開発」をうたっていても、実態は常駐中心という会社はあります。配属先がどう決まるのかを具体的に聞き、入社後に自社サービスの席に座れる見通しを確認してください。
軸5:安定と制度 → 大手SIer・大手グループ会社
向いている人
- 住宅補助や休暇など、給与以外の制度を重視する
- 腰を据えて長く働ける環境がいい
- 教育体制のある会社で、着実に積み上げたい
得られるもの/諦めるもの
- 得られるもの:制度の厚み、雇用の安定、研修・教育の仕組み、大きな案件に関わる機会
- 諦めるもの:昇給の速度、配属や異動の自由度。工程が固定されやすい面
面談で必ず確認する質問
- 配属先と、異動の頻度・範囲はどうなっていますか
- 昇給・昇格のモデルケースはありますか(何年目でどの水準か)
- 残業と有給休暇の取得実績は、どれくらいですか
書類・求人票で見るポイント
「大手」と言っても、本体と子会社では条件が違います。求人票のブランド名だけでなく、雇用される法人がどこなのかを確認してください。給与テーブルが硬い会社ほど、入社時の提示額がその後の伸びを決めます。年収交渉の読み方は、交渉の記事と合わせて確認を。
軸6:年収の上限を早く上げたい → ITコンサル・PMO系
向いている人
- 技術の手を動かすより、構成を決める・関係者をまとめる仕事に寄せたい
- 資料作成や折衝が苦にならない
- 年収の上限の高さを、働き方や業務内容より優先する
得られるもの/諦めるもの
- 得られるもの:年収レンジの上限の高さ、経営や事業に近いテーマ、意思決定の経験
- 諦めるもの:技術の手を動かす時間。成果が「決めたこと・まとめたこと」で測られる働き方への適応
面談で必ず確認する質問
- 担当するのは戦略・要件定義か、PMO(管理支援)か。その比率はどれくらいですか
- 評価は何で決まりますか(売上、顧客評価、稼働など)
- コンサル領域が未経験の場合、移行の支援や研修はありますか
書類・求人票で見るポイント
「コンサルタント」の看板でも、中身がPMO中心の会社はあります。工程の実態(要件定義に入るのか、管理支援が中心か)を、面談で必ず切り分けてください。書類では、技術の一覧より「決めたこと・まとめたこと」の実績が効きます。
迷ったら:現在地 → 行き先 → 登録先の順で決める
優先軸が1つに定まらない人は、順番をこうしてください。まず工程マップで現在地(フェーズ・経験年数・商流)を置く。次にこのページで、行き先の会社の形を決める。形が決まれば、紹介求人の仕分けと登録先の選び方は自然に決まります。逆に、行き先の形が決まっていないまま登録先だけ増やすと、求人の山に振り回されます。